世界中で10人に6人以上が利用しているSNS(普及率62.6%、2024年初頭*)は、日々の出来事を瞬時に共有しながらコミュニケーションを図れる大変便利なツールです。
(*:Statista Japan, 2024-6-28)
ただ、その手軽さの裏返しとして、真偽の疑わしいものや、不用意な書き込みによるトラブルも日常茶飯事です。一方、本というのは、書き手が推敲を重ねて、さらに編集者が目を通して時間をかけて作り上げられるので、SNSにはない安心感・信頼感が備わっています。
ですから、自分の特別な思いを届けたい場合は、ぜひ本にして出すことをお勧めします。たった1人でも伝えたい人(=読者)があるならば、それは本を出版するべき大きな理由になると思います。売れるか売れないかとか、テーマの普遍性だけで出版を決めるのではなく、伝えたい気持ちの強さや届けたい相手が誰なのかで出版の是非を決めるべきです。
むしろ売れないテーマ(家族のためだけに残したい思いなど)こそが人間にとっては大切なものなのであり、それが本の題材として最もふさわしいものなのかもしれません。
本を作る作業、例えば目次立てを整理・推敲しながら、あるいは原稿を書き進めながら、新たな気づきに出会うことが少なくありません。
時に自分の考え方や生き方までも見つめ直す機会にもなり得ます。
企業であれば、思わぬ経営課題が浮き彫りになったり、新たなビジョンや社会的使命が見えたりすることがあるかも。
本を出すために費やされる時間は、いろいろな気づきに出会う大切な時間となります。
私たちの作る本=医学書は、医学専門家・医療従事者への依頼原稿で成り立っています。
出版するテーマが決まれば、そのテーマに詳しいドクターに編集や監修をお願いして、その本の目次構成とともに執筆者(分担執筆)を決めていただき、各執筆者には数カ月の期限付きで執筆をお願いします。
高血圧や糖尿病など臨床医学系のテーマであれば、執筆者の大半は日々の診療に多忙な臨床医です。分担執筆とはいえ、ただでさえ忙しい診療の合間に原稿を書いていただかねばなりません。
分担執筆の難点は、1人でも原稿が遅れると発行が遅れてしまうことです。なので、執筆期限がくると各執筆者には、編集担当者からたびたび督促がかけられ、ときには睡眠時間も削って執筆していただかねばなりません。実は、このようなことが常態化・慢性化していて、複数の依頼原稿を抱えている執筆者(臨床医)はいつも寝不足で、常にいくつもの締め切りに急き立てられながら日々診療にあたることになり、重大な疾患の見落としや誤診の危険性にさらされていると言えなくもありません。
果たして、このような原稿執筆に依存している医学専門書の出版活動というものは、どこまで許容されるのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の対応に昼夜を問わず尽力してくださっている医療従事者に、先を争って原稿依頼をかけていく医学系出版社の矜持とはなんなのか? 私共がいつも自問しているジレンマです。
一般的な出版(実績のある出版社での発行)においては、より書店店頭で目立たせるために、平積みや面陳列に見合う初版部数が必要です。皆さんが書店の新刊コーナーや学会の書籍展示コーナーをご覧になれば一目瞭然です。
でも、本当に必要な(実際に売れる)数量に限れば、もっと初版部数は少なくて済むはずです。作りすぎて無駄になった本の実数は公開されることはありませんが、おそらく想像をはるかに超えた驚異的な数字になっていることでしょう。この販売手法を見直せば、資源を無駄にせず、環境負荷を軽減できるはずです(発行部数の多さは輸送量、すなわちCO2排出量にも直結します)。
書籍「キャッスルマン病,TAFRO症候群」のクラウドファンディングのサイトにも、このことを述べました。
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